どんなに忙しくても、時に酩酊していても就寝前の読書を欠かさない私ですが、この1年は野田総理について書かれた書物以外は独り言で紹介する余裕もなかったと思います。同じく愛読家の蓮舫さんから「主人公の国岡鐵造が野田さんとだぶる」からと薦められ、寝不足になりながらも読破したのが「永遠の0(ゼロ)」のベストセラーで名を馳せた、百田尚樹氏の「海賊とよばれた男」の上・下刊。本書は、小説というよりも、出光興産創業者の出光佐三氏の生涯を濃密に描いたノンフィクションです。「私自身は自分の人生を一言で言い表せる。すなわち誘惑に迷わず、妥協を排し、人間尊重の信念を貫き通した人生だった」と。この一節に代表されるように、幾多の艱難辛苦を揺るぎない強い信念で乗り越え、日本を代表する企業を作り上げた主人公の立志伝に心を揺さぶられます。野田総理と重なったのは、志高きリーダーの瀬戸際での判断、意思決定の持つ底力です。深まりつつある秋の夜長にお薦めします。ハンカチのご用意も忘れずに。17:30