私が大好きな小説家、高村薫が「新リア王」を上梓。分厚い上・下2冊を手に取りながら、月刊現代12月号で彼女が答えているインタビュー記事にも目を通してみました。この中で「メディアが政治に大きな影響を及ぼすことになって、有権者一人一人が個人の頭で考えるための基盤が失われている」と指摘しています。この新作で彼女が取り組んだテーマはまさに「政治」そのもの。青森に巨大な政治王国を築いた老獪な代議士と、その婚外子で僧侶となった息子との対話を通じて、80年代の政治の世界を生々しく描いています。インタビューでは「明らかに政治が後退している時代に、小説で抵抗してみたかった」とも。時間に余裕がある年末年始にお薦めです。15:45