早稲田大学第1文学部出身の私。文学とはまるで無縁な職業を選択しましたが、小説はかなりの量を乱読しています。その私が、この10年間に読んだ小説で最も心に残っている作品をあげるとすれば、躊躇なく浅田次郎の「蒼穹の昴」です。清朝時代の中国を舞台に、歴史の荒波に翻弄され、想像を絶する艱難辛苦の人生を歩む主人公のひたむきな姿に涙し、そしてたっぷり勇気づけられる、スケールの大きな歴史小説です。私の押し付けがましい推薦で、手塚事務所には未読のスタッフはいないはず。96年に刊行されたベストセラーが、この度ようやく文庫化されました。未読の方は、秋の夜長に是非とも。18:25