日本を出発する前に母が送ってくれた、文芸春秋の昭和14年5月号のコピーが手元にあります。「敵前火技」の題名で読売新聞の手塚記者の活躍が書かれています。上海に従軍記者として赴いていた手塚記者は、米英仏伊ら列強の軍艦や富裕な租界での生活を目の当たりにします。彼は特務機関や花火師らと画策し、広東陥落の報に合わせ、浦東江に盛大な花火を打ち上げ、日本の技術を見せつけ、上海の話題をさらったとの記事です。手塚記者は私の祖父のこと。60年の歳月を経て、今度は私が上海の地に立ち、特別な感慨にひたっています。11:30