衆議院議員手塚よしおWEB。立憲民主党 東京都第5区(世田谷)。都議1期、衆院5期、元内閣総理大臣補佐官。現在、立憲民主党幹事長代理、東京都連幹事長など。

2009年4月1日 内野席「選挙事件簿~チワワ監禁事件2」伊藤 悠

「君さあ、どうしてチワワとか選挙事務所に持ち込んじゃうかな? まして無断で」
「それがですねぇ…」
と始めた話を要約するとこうだ。
最近できた彼女のために犬を飼い始めたら、途端に彼女と別れて犬だけが残った。親にも呆れられ、自宅で飼うのも許されないから、しばらく手塚事務所の2階に放し飼いにしようということになったらしい。
「おいおい、お前らねぇ、事務所の2階がドックランに見える? オシッコとかしたら誰が始末するつもりだったの?」
「そう思って、2階のトイレに閉じ込めておきました」
道理で、手塚さんがトイレを空けた瞬間にチワワが飛び出してきたわけだ。飛び出したどころか、気でも狂ったようにブレークダンスを踊りだしたというのも無理はない。チワワも監禁の被害者だ。
「お前ら、チワワどうするつもりだよ? トイレはチワワのオシッコ臭いし。しばらく2階は使えないぞ」
待ってましたと、T君他3名の自称学生グループ。
「それなら、うちらに使わせてください。今日から2階で自炊します」
ときた。
「君たち、泊り込むの?」
「ええ、そのつもりでパンツと歯ブラシ、チップスターまで買ってきました。今夜は寝かしませんよ」
「朝は早いから早く寝なさい、じゃなかった、本気で泊り込むつもりかよ!?」
何をいまさら、そんな顔の若い衆だった。
かくして選挙戦は始まった。背に腹は変えられないと事務所の皆さんを説得し、若い衆には正しい日本語を教育した。
「はい、事務所に来たお客様に対するご挨拶を練習しましょう」
「うっす」
「うっす、はダメでしょ、ハイでしょ。そして、そこの君は股を割って腰を落とす必要はないからね。はい、両足揃えてお辞儀しましょう。じゃあ、お客様が来ましたよ。はい、せーの」
「ちわっす」
だめだこりゃ。
ところがどっこい、彼らの本領は駅頭演説で発揮された。
街頭演説にビラ配りはつきもの。ところがこれが一筋縄ではいかないもので、良い子、悪い子、普通の子の差が出る。
普通の子は、向かって来る歩行者におっかなビックリ、ビラを差し出すものだから歩行者は受け取りを躊躇する。
良い子は、歩行者の空いている手を目がけて一心不乱にビラを渡すからビラはけがいい。
さて、若い衆達、悪い子たちはさすが肝が据わっている。信号を待っている歩行者の後ろから近づき、肩をたたいて振り返えらさせては、ビラを手渡す。振り返った歩行者は、選挙運動より夜の街がよく似合う若者がビラを差し出しているから驚き眼で受け取っていく。
「あの配り方ができる学生は彼らだけだな。でも票が増えているんだろうか?」
一抹の不安を抱える手塚さんだったが、日々疲労感が漂う選挙事務所にあって彼らのエネルギーは僕らの活力にもなっていった。
もちろん、最後まで言葉遣いは変わらなかったが。
「明日は朝6時から駅頭だよ」
「うっす」
「明日は休憩ないよ」
「うっす」
「夜中まで働いてもらうよ」
「うっす」
「うっす」しか知らないわけではなかった。言葉通り、泣き言ひとつ言わずに最後まで闘ってくれた彼らに感謝したい。
しかし、事務所の2階のカーペットは当選後、全部張り替えることになった。

内野席・外野席

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