衆議院議員手塚よしおWEB。立憲民主党 東京都第5区(世田谷)。都議1期、衆院5期、元内閣総理大臣補佐官。現在、立憲民主党幹事長代理、東京都連幹事長など。

2024年8月9日 内野席「本物」細貝 悠

 音を立てながら、燃えている。薪の中にある水分が、熱によってはじける音が妙に心地よい。ゆらめく光の奥からは、より高温で煌々しい確かな煌めきとともに、力強い音が聞こえる。炎は常に形が変わっていき、同じ姿など一瞬たりともない。薪を足さなければ勢いが弱まり、たとえ燃えている姿が見えなくなっても、芯部さえ熱を持ち続けていれば、また大きな炎団となる。
 3月から続いた選挙ラッシュが落ち着いた7月末のある日、私は長野のキャンプ場にて、焚火をしながら椅子に座り、木の間をすり抜ける夕日をあびながら、本文をしたためています。目黒区長選、衆院東京15区補選、目黒都議補選、そして都知事選と、多くの物語がありました。
 こと7月7日の七夕決戦。結果は、私が望んだそれとは大きくかけ離れたものでした。20時、テレビ番組が選挙特番へ変わると同時に、竹橋の会場に集まった百余名が声をあげ、その後は会場に流れる小池氏の当確報道をじっと見つめ、先陣をきって口を開く人はいません。我々の訴えは届かなかった。テレビ討論が出来ず政策の議論が深まらなかったこともあるが、人々への伝え方を見直さなければならない。色々な考えが頭の中を駆け巡りました。
 5月26日に目黒区での都議補選の結果が出た翌日、蓮舫さんは、古い政治と決別するために、小池都政をリセットするために、カメラの前に立ちました。おそらく多くの逡巡があったかと思います。ただ全てを捨て、そして全てを背負ったその姿はかっこよかった。それからというもの、マスコミ各社は、小池対蓮舫の構図で報道を続ける。あの時はもしかしたら、都知事に。もしかしたら、政権交代。そうした期待で胸が高鳴りました。
 浮き立つ心を抑え迎えた、17日間の戦い。一日一回の街頭演説は、その全てが真剣勝負でした。どんな東京にしたいのか、誰に届けたいのか、蓮舫さんが生きてきた人生をのせて一つ一つ紡いだ言葉は、間違いなくその場にいた人達に届いていました。演説を聞いたある方は、「ああ、これで生きていけると思った」とも語っていました。しかし、最終日に近づくにつれて、現場の熱が高まっていく一方で、世の中の反応は冷めていく。それは報道各社が発表する数字に表れており、現場にいる一員として何ができるのか、考えあぐねても、与えられた任務を全うすることしかできない。もちろん数百万票とる都知事選ではそういう話ではないと分かっていますが、今振り返れば、あの時もう一枚チラシを多く配れていたら、もっと大きく手を振ることが出来ていたら、声が枯れるくらい訴えていたら、と自分の非を探してしまいます。
 選挙戦中チラシを配っていると、「蓮舫はいつも批判しかしない」、「蓮舫はいつも怒っている」と言われることがままあり、その度に憤怒と共に、「あなたの税金が適当に使われていいのか」、「蓮舫は真剣だから怒るのだ」と返していました。議員の主な仕事は、大まかにいえば行政の監視です。蓮舫さんは誰よりもその役割を全うしていたと思います。一つの質問をつくるのに半年から一年をかけてつくるらしく、初期の控室は足の踏み場がないくらい資料だらけになり、完成が近づいてくると一つの原稿にまとまっていくと聞いたことがあります。その研ぎ澄まされた質問を歴代総理に真正面からぶつけるのは、怖かったかもしれない、震えていたかもしれない。私も同じく質問をする立場として想像しきれませんが、その心労たるや筆舌に尽くし難いです。しかし、その内容ではなく、雰囲気や一部の言葉だけ切り取られてしまい、仕事をすればするほど世間でのイメージが悪くなっていく。議員の仕事とその評価としての選挙結果は必ずしも一致するものではありません。この事実に一種の無力感さえ覚えます。
 政治の世界においては、役割があります。蓮舫さんのように表に立つ者、裏で調整や計画を立てる者。それぞれが職務を果たして物事が前に進んでいきます。今回、手塚さんは、都連幹事長として候補者選定、交渉、遊説、選挙結果、始めから最後まで責任を持ち、実行してきました。おそらく多くの困難があったと思います。難しい交渉もあったと思います。それでも手塚さんが裏方として全うすることで、最後まで一致団結して戦いぬけました。何より都知事選という大きな選挙において、市民と野党の共闘を推し進められたのは、今後に繋がる大きな財産となりました。
 私は「本物かどうか。」と自分に問い続けます。この言葉は、あくまで私の中の思いであって、広く定義できるものではありません。政治に対し真摯に向き合っているか、自分の立場だけを守っていないか、人のために動いているか、周囲の人に感謝をしているか、責任から逃げていないか、真剣か、勝負をしているか。議員として人として、必要な要素は多々あります。それらを抽象的に定義したのが、「本物」。先輩方とは違い、私はまだ何も成し遂げていませんが、この言葉を他人に強要することなく、自分に問い続けることによって、5年後、10年後、20年後に見えている世界が違うものになると信じています。
 今、蓮舫さんは背負いすぎていたものを下ろし、小休憩をしています。蓮舫さんが次に立ち上がった際に、私は芯部で光輝けるよう熱い熱を持ち続けていきます。必ずや、より大きな炎団にするために。

内野席・外野席

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