衆議院議員手塚よしおウェブサイト。立憲民主党 東京都第5区(目黒・世田谷)。都議1期、衆院4期、元内閣総理大臣補佐官。現在、議運筆頭理事、国対筆頭副委員長、都連幹事長など。

2012年3月1日 内野席「蓮孝道君逝く」伊藤悠

 蓮くん、僕は君のことを天使のような人間だと思っています。顔は毬栗坊主のようでしたが、その顔にたたえる透き通った笑顔は、大人のけがれや邪心を全く感じさせない、天使の微笑みのようでした。君は怒ったことはあったのですか?
 短気だった僕に何度も怒鳴られても秘書時代の君は
「そうっすよね、ほんと、すんません」
そう繰り返すばかりで、苛立ちや反発を顔に出すことはありませんでしたね。怒っているこっちが、だんだん申し訳なくなるような仏のような心を君は持っていましたね。だから僕は君が怒った姿を思い出そうとしても思い出せません。
 その蓮くんがやり場のない怒りを見せたと聞いて驚きました。手塚さんからです。すでに、歩くことも食べることもできなくなって、きっと君が覚悟を決めて自宅療養をしていた1月のことです。君に総理官邸を案内したいと意気込んでいた手塚さんは、君の病の進行の早さに慄然として、群馬の病床に駆けつけたましたね。駆けつけた手塚さんに君は言ったそうですね。
「会いたかった。会いたかったですよ、親方!」
 ようやく会えたんだね。君は大好きな手塚さんに抱きつき、痛む体を起こしたんじゃないのかな。そして我慢に我慢を重ねた君の中で、きっと何かが決壊したんだね。いや、早く決壊したかったんだね。
「親方、何で僕なんですか? 何で僕じゃなきゃいけなかったんですか?」
 その時、君は誰にも見せなかったことで、巨大な塊になっていた運命への怒りを吐き出したんだね。
 僕はその話を聞いて、君の我慢に我慢を重ねた君の我慢を知りました。君は天使なんかではないんだ。死を恐れ、脆くて壊れやすい僕らと同じ人間なんだ。でも、その恐怖や不安を人に見せまいとする、人よりも遥かに強くて、遥かに我慢の出来る人間なんだと知らされました。本当に、蓮くんは立派です。
 僕は12月の、ちょうどクリスマスの頃に太一さんと病室を訪れました。考えてみればあれが最後の会話となりました。
 僕は君にこんなことを聞きましたね。
「体もきつかっただろうに、よく4月の選挙に出たよね。ハスさあ、どうして君は選挙に出たの?」
 僕は聞きたかった。抗がん剤の投与で、全身がボロボロになるなか、下した決断には、決断というよりも、何か決意のようなものを感じたからです。
 君は言いましたね。
「伊藤さん、政治家なんですから、政治家として最後までやりたいじゃないですか。死ぬまで政治家でありたいんですよ」
 僕はその言葉に、政治にかける覚悟の違いを感じ、一歩後ずさる思いをしました。しかし、振り返ってみれば、あの言葉は、僕らに魔法をかけてくれたような気がします。まるで「使命」と大きく書いた裃を着させられたような感覚です。
 そう、命懸けでやらないといけませんね、この仕事は。君は最後まで背筋の通った生き方を見せてくれました。君の最期に残した政治家としての作法に、僕らは大いに影響を受け、これからを生きて行きます。
 最期に残された者への君の気遣いを思い出します。悲しみにくれ、蓮くんのいない世の中が信じられないと、参列者の誰もが沈痛な面持ちで君の棺を霊柩車に送り出すとき、葬儀場にかかった不似合いなアンパンマンのテーマ曲に我が耳を疑いました。
「そうだ うれしいんだ 生きる喜び たとえ胸の傷がいたんでも 何のために生まれて 何をして生きるのか 答えられないなんてそんなの嫌だ 今を生きることで 熱い心を燃える だから君はいくんだ微笑んで…」
 逝ったあとまで、参列者を笑わせようとした君の配慮に脱帽します。アンパンマンのような蓮くんの笑顔が忘れられません。

内野席・外野席

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